金持ちと貧乏人の単純な国があったとする。

     人数   所得  消費性向  消費額

金持ち  1人  1億円  10%    1000万円

貧乏人 100人 2億円 100%  2億円

総額       3億円       2億1000万円

金持ちはケチだから消費性向は10%、貧乏人はカツカツの生活をしていて、貯蓄の余裕はないから、所得をすべて消費してしまう。

この国の生産額(=所得)GNPは3億円で、消費額は2億1000万円。

金持ちが9000万円分の投資をすると、生産額=消費額=3億円となって、経済は円滑に回っていく。

でも、いまの日本のように景気の先行きがいまひとつの場合、金持ちは4500万円しか投資しない。結果、4500万円の需要が不足して経済は負のスパイラルに陥って、経済は縮小していく。

そこで、税制改革で所得の不平等を改善して、金持ちの所得を5000万円少なくし、貧乏人に回してみると、

     人数     所得    消費性向    消費額

金持ち  1人    5000万円  10%    500万円

貧乏人 100人 2億5000万円 100%  2億5000万円

総額       3億円            2億5500万円

消費額が2億5500万円に増える。

金持ちの投資額4500万円とあわせると、消費額は3億円となり、生産物はすべて売れて、経済は円滑に回っていく。

どこの国でも貧乏人の方が金持ちより消費性向(所得のうち使わざるを得ない部分)は高いので、所得分配が金持ちから貧乏人にシフトすると消費は増大する。

日本はバブルの時代に企業経営者がアメリカのマネをして法外な利益をむさぼるようになった。その後、景気が落ち込んで、貧乏人の給料をできるだけ抑え、おまけに、小泉改革で派遣社員を都合のいいように使い潰せるようになった。

企業にとって、従業員の給料は抑えるべきコストであり、最大化すべきは利潤。そして、企業経営者の報酬はその利潤から払われる。

放置しておけば、所得分配は不平等化し、結果、需要が不足して景気が悪くなる。

経済社会の健全な運営には所得分配の平等化が不可欠だが、「税制改革」は金持ちのための節税の手段を増やすことに終始している。