GPV画像はコンピュータ予想の生データ

現代の天気予報は観測値をスーパーコンピュータに入れて計算させる。その結果がGrid Point Value。

日本でも20年ほど前からテレビ画面で使えるようになった。

日本地図の上を雨の区域が滑らかに動く。あれがGPV画像である。

GPV画像には寒気の南下や、雲の動きなどいろいろある。

ただ、その動きをじっと見ていると、不自然に揺れている(振動している)のがわかるはず。

 

揺れるのはデータの欠落を画像で補完しているから

上の図の左側が数値予報の生データだとする。雨域がゆっくり東に動いていく。

しかし、気象庁からテレビ局など外部に提供されるのは、実は生データを間引いたもの。

上の数値予報のデータのうち、1と5だけがテレビ局に提供される。

テレビ局としては飛び飛びの画面ではガクガクとした不自然な動きになってしまうので、間を補完したい。

ほんとは数値予報モデルを動かしてデータを補完するといいのだが、そこまでの予報技術はテレビ局にはない。

テレビ局にあるのは画像作成の技術。というわけで、画像で補完したのが上の図の右側。

西にあった雨域がぼやけた後、東側にゆっくりと現れる。

これがGPV画像が揺れる理由である。

 

どの程度補完しているか

気象庁からテレビ局に提供されるのは雨域の場合、1時間に1画面。

24時間の雨域の動きを12秒の動画にする場合を考える。

テレビの画面は簡単に言えば、1秒に30枚のパラパラ漫画でできている。

12秒の動画には360枚の画像が必要である。

気象庁から提供されるのは24枚だけ。単純に15倍の補完が必要になる。(360÷24=15)

かなりの補完である。GPV画像が揺れるわけである。

 

ほんとのGPVの解像度は高い

ほんとはスーパーコンピュータがはき出すGPVはもっと時間間隔が短い。例えば、4分間に1回程度の画像がある。

これを間引かないまま画像化すれば、テレビ局側で不自然な画像補完が要らなくなる。

日本でGPV画像の放送が始まったときはデータ転送の回線費用がとても高かった。

これがデータを間引いた大きな理由である。

今はインターネットの普及に伴って、回線費用は劇的に安くなっている。

気象庁がデータの間引きを止めれば、GPV画像は本来のコンピュータ予想を表現するものになる。