【アベノミクスの評価】
参議院選挙の争点はアベノミクスの評価だという。
安倍さんはアベノミクスの継続が必要と言い、岡田さんはアベノミクスは失敗だという。
評価には評価基準が必要だ。日本は民主主義国家だから、経済についての評価基準は国民の多くの生活水準が向上したか下降したかであるべきだ。
景気を見ると、民主党時代より、安倍政権のほうがよくなっている。
有権者の過半数はアベノミクスは成功だと思っているように感じる。
しかし、国民の生活レベルは安倍政権になって下がっており、多くの国民にとってアベノミクスは失敗だと私も思う。
安倍さんは企業の利益は今後従業員に還元されていくと言うが、そんなことは今後もないだろう。
【グローバル経済】
戦後の日本はアメリカの十数年後をついてきた。政治が対米追従だから、経済もそうなるのか。
そのアメリカはレーガノミクスで規制緩和して企業業績がよくなった。しかし、利益は富裕層に集中したままで、いちど広がった格差は縮小することはなかった。深刻な病気でも医者にもかかれない人が今でも大勢いるという。
経済のグローバル化はTPPによって一層進むから、日本もアメリカと同じ道を歩むしかない。グローバルな経済では賃金は所詮コストでしかないのだから、優秀な企業経営者は賃金水準を抑えるのが当然だ。したがって、富裕層の富が一般のサラリーマンに広がるなんてことはあり得ない。
富裕層はタックス・ヘイブンで税金逃れをしている。一般の人間はそんな複雑な仕組みは利用できないから、税金は一般のサラリーマンが払うしかない。消費税も税負担の累進性を弱める。税の累進性は景気変動の安定装置として働いてきた。これが弱まって世界的な景気変動は激化した。
【民主党政権】
TPPや消費税引き上げを強力に推し進めようとしたのは民主党の野田さんだ。野田さんは鳩山さんや菅さんよりずっと誠実そうに見えた。しかし、政策の目標は最悪だった。
安倍政権がどんなに失敗しようと「民主党政権に戻りたいですか?」と聞けば、ほとんどの国民はいやだと言うだろう。あの民主党時代の総括をしないことには国民は民主党を信用しないだろう。代表が岡田さんになろうが、民主党が名前を民進党に変えようが。岡田さんはあの民主党時代の失政を率直に国民に謝罪し、新しい方向性を打ち出すべきだ。「アベノミクスは失敗だ」と安倍政権の批判を続けても、「じゃオマエのところはどうだったのか」と多くの国民は問いたいだろう。
民進党がどうなろうが、知ったことではないが、安倍政権がこれ以上続くのはやめて欲しい。対抗勢力が必要だ。
【格差是正】
選挙の争点は格差是正にして欲しい。
賃金は低いままだし、物価は上がって、実質賃金は低下している。私ら一般庶民は貧乏になっているのだ。
高齢化は一層進むが介護現場は厳しいままだ。介護労働者の月収は一般より10万円も低いという。人が集まらず、長時間労働が続く。介護労働者の熱意と善意に頼り続けるのは政治の貧困だ。
高齢化が進むのは若い女性が結婚し、子供を産むことができない環境が続いているからだ。
若い男女が共に不安定な派遣労働では結婚に踏み切れないし、子供をつくることも難しい。
子供ができても、低賃金で共働きを続けるしかない。しかし、保育園はいっぱいで子供を預けることはできない。
保育園で働く保母さん自身が介護労働者と同じ低賃金にあえいでいる。
有効求人倍率が1を上回っても、求人の多くは不安定な派遣労働だ。
派遣労働を解禁したのは小泉政権だが、問題が表面化したあとも労働者保護の規制をゆるめ続けた後継政権の責任も大きい。
労働者保護の規制がずっと厳しいヨーロッパの方が、この10年の経済成長は高い。一人あたりの国民所得で日本が引き離されたのは皮肉としか言い様がない。
労働者保護の規制を緩めれば経済はよくなると言っていた経済界の人間は結局、経済音痴だったのか。あるいは自分たちだけが得をして一般国民が損をすることを隠していた詐欺師だったのか。
若い人たちが正社員として働け、子供をつくり、年老いて働けなくなったら介護を受けられるような社会をつくるために今どんなことをすべきか。参議院選挙ではそのための政策を問いたい。