ひまわり8号が観測を開始するという。観測間隔が大幅に短くなり、画像の解像度も上がり、一部はカラーになるという。台風はひまわりだけで観測しているといっていい状態だから、これまで特に外れることの多かった台風の勢力の推定が改善されると期待したい。だが、進路予想なども含めて台風予報が大幅に改善されるといった報道は報道機関としてあまりにナイーブと感じる。
台風観測は米軍がかつて行っていた航空機による台風の直接観測と気象衛星画像の特徴とを照らし合わせて関係を調べたアメリカの気象学者ドボラックの功績によるところが極めて大きい。これにより、気象衛星画像から台風の中心気圧や最大風速が推定できるようになった。気象庁の台風観測はこれにほぼ全面的に依存している。
しかし、直接台風を観測しているわけではないから、相当なずれがある。日本は防衛省の予算も多く、パイロットも優秀そうだから、台風観測機を開発してきちんと台風が観測できるようになればすばらしい。日本だけでなく、大きな国際貢献になると思うがそんなことを考えている政治家や官僚はいないだろう。
オーストラリアなど一部の国では無人機による台風観測もされているらしい。日本もドローンの技術が向上しているようだが、台風観測に使えるような無人機が作れるようになれば、世界の気象観測(ひいては気象災害の軽減)に大きな貢献ができるだろう。サイクロンやハリケーンなど、名前は違っても多くの国に熱帯低気圧の被害があり、それは数十万人規模の死者につながることもあるのだから。